下関の整体です【第5章】ADLと環境設定 1.靴の着脱動作 《その4》靴を履く操作の分析、及び各動作の代償手段

2022/04/06 足と靴
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ななかの山田です。

いつもななかのブログをご覧戴き、

本当に有難うございます。

 

 

おはようございます。

 

昨日は午後から

お休みを戴きまして、

美祢市役所横の

桜を見に行ってきました。

 

いやあ、

相変わらず奇麗な

桜並木でした。

 

満開の桜も奇麗ですが、

風に吹かれて散る桜も

奇麗です。

 

今年は雨に祟られなかった

ので、桜を長ーく楽しめた

年でした。

 

さあ、桜が散ったら

次は藤の番です。

 

そして新緑の季節。

 

爽やかな風と共に

奇麗な緑を満喫

したいものです。

(^^♪

 

 

さて。

 

 

87回目の今日は、

【第5章】

ADLと環境設定

1.靴の着脱動作

《その4》

靴を履く操作の分析、

及び各動作の代償手段

と題してお送りします。

 

 

☆動作過程

靴を履く動作過程を、

1)靴を適切にセットする、

2)足先を靴の開口部へ入れる、

3)足先を靴先へと滑らせ、

  足を適切に靴内に位置させる、

4)踵を靴に入れる、

5)踵を靴甲部に合わせる、

6)靴ひも・ストラップ等を

  締めて靴を足にフィットさせる

と、これら6過程に分けて

動作を分析し、

各動作要素の代償手段を

考えていきます。

 

☆動作分析、及び

各動作要素の代償手段

 

1)靴を適切にセットする

 

例えば片麻痺回復過程の

一時期にある人は、

下肢の運動がパターン化

しています。

 

その場合、その運動パターンに

沿った位置と方向に靴をセット

する必要があります。

 

次の、2)で綴る予定の

ストラップの仮留めも

この過程の動作です。

靴に足を入れる前の

準備過程となります。

 

2)足先を靴の開口部へ入れる

 

この動作を容易に

しようとするならば、

開口部を大きくとると

いいでしょう。

 

それにはひも靴や

ストラップ付きの靴が

適しています。

 

ストラップにある程度の

硬さがあれば、緩めに

仮留めしストラップを

ドーム形にすることで

開口部を広く保つ

事ができます。

 

ストラップは後で締める

動作も楽なので、

このタイプの靴は

よく用いられるようです。

 

さらに大きな開口部を

可能にした靴が、

前上部の中央を開閉できる

ファスナー付きの靴です。

 

この場合も素材に程度な

硬度があって、ファスナーを

開けると両サイドが少し立つと

履きやすくなります。

 

これが逆に下に落ちると

開口部を狭めてしまいます。

 

フルオープンタイプの

靴もあります。

この靴は、セットすれば

開口部がさらに大きく

確保できます。

 

足部に重度な変形や

拘縮があり、

介助者が靴を履かせにくい

場合には有用です。

 

対象者自身が履く場合、

後の操作が複雑になる事を

考慮して適応を考えましょう。

 

ストラップの中には、

靴の外側に始まり

内側の金具を通して

方向転換し、外側で

留めるものがあります。

 

ここでは往復型と呼びます。

 

往復型は締めやすいのが

大きな利点なのですが、

ストラップを往復させるために

柔らかい素材が

使用されている場合は、

ストラップがドーム形を

保持できずに落ちてきて

開口部を狭めてしまいます。

 

靴を選択する時の

留意点となるでしょう。

 

3)足先を靴先へと滑らせ、

  足を適切に靴内に位置させる

 

靴を知覚しつつ足部を

動かす過程です。

 

まずは、足部全体を

前方へ移動させます。

靴先の狭い空間に

足を入れ込むときは、

足趾の屈伸運動を

利用する場合もあります。

 

靴の方も合わせるように

少し移動してくれて、

靴と足の共同作業となります。

 

この段階の動作が

困難な場合、

動作過程2)と同様に

開口部が大きく、加えて、

前半分(つま先の方)

の靴内空間も広いと

履きやすいでしょう。

 

この場合、

靴をフィットさせるという

動作過程6)が靴前部に

至るまで必要になるので、

靴の前方も締める事が

できるタイプの靴が

適しているでしょう。

 

また、

足先を靴先へと滑らせる時の

力加減がうまくいかず、

靴が前方に動いてしまう場合は、

靴を固定する必要があります。

 

固定にはリーチャーが

用いられる事が多いです。

 

リーチャーの先の

形状は様々ですが、

引っ掛ける部分が

先端に突出している物は、

この動作に適しません。

 

なお、

リーチャーには携帯用

(伸縮型)もあります。

 

滑り止めマットを使用すると、

靴底の滑り止め効果と

マットの効果が相まって

強く固定される反面、

それが動作過程の

阻害因子になる場合が多く、

セラピストや家族が

そばに付いての訓練の

一過程のみで使われる

事が多いです。

 

4)踵を靴にいれる

 

開口部が広く、

かつ靴の内空間が前方に

至るまで広い靴で

動作過程3)を行った場合は、

既に踵部は靴の中に

位置しているはずです。

 

しかし、

靴前方の空間に余裕が少なく、

足趾の屈伸を使って足を

前方移動させるような

場合は、おそらく、

踵部は靴に入りにくいはずです。

(そうでもないというときは、

靴が大きすぎる事が考えられます)

 

踵部を靴に入れるためには、

靴べらなどを使用します。

 

あるいは、靴の踵部上方に

持ちやすいような

工夫を施しておいて、

その部分を引き上げながら

踵部を入れ込むと

上手く行くでしょう。

 

リハビリテーション用の

靴には、踵後部にある程度の

硬度を持たせて形状が

保たれるタイプ、

つまり、靴べらの機能を

果たしてくれるものが

多くあります。

 

5)踵を靴後部に合わせる

 

靴内空間で足は後方に位置し、

前方に余裕があるのが

適切な履き方であり、

そのためには、

靴の踵を床などに

トンと打ち付ける動作が

必要となります。

 

特に、

積極的に歩行する人には、

体重が付加される度に

生じる頻回な靴からの

圧や摩擦で足を

傷めないために、

重要な過程となります。

 

片麻痺の場合は、

共同運動パターンにより

足関節が底屈し、

踵が浮く傾向が強いですが、

これに対処する方法は、

『片麻痺の患者さんの場合』

にて別途綴っていきます。

 

移動が車椅子中心の場合、

積極的に歩行する場合ほどの

適合性は必要ないので、

動作過程5)は

省略されることが多いです。

 

6)靴ひも・ストラップ等を

  締めて靴を足にフィットさせる

 

一般的には靴ひもを

締める事で調整される

過程ですね。

 

足の形状は朝夕で変わるため、

履く度に前方から後方へと

足の形状に合わせながら

締め具合を調整できる

ひも靴は最適ですが、

上肢の高い操作性が必要となり、

もちろん時間もかかります。

 

この動作を簡略化させるために、

靴ひもとファスナーの

両方を備え、一旦、

自分の足合わせて

ひもを締め、後はファスナーで

調整する事が出来るものが、

最近市販されているようです。

 

靴ひもの操作が面倒で、

結んだまま着脱動作が

可能な程度にひもを

締めた靴に比べれば、

この靴の方が数段好ましいと

言えるでしょう。

 

最近のリハビリテーション用の

靴の多くはストラップタイプが

殆どです。

 

ストラップは扱いやすく、

容易に靴を足に適合させる

ことが出来ます。

(靴ひもよりは

適合性は低いですが)

 

ストラップが1つのものより

2つのものの方が、当然ながら

足への適合性は高くなります。

 

前にも綴りましたが、

往復型ストラップは、

固定性を高めるには

最適であると言えます。

 

バレーシューズ

(体育館シューズ)は、

ゴムの作用で靴内空間を

狭めて靴を足に適合させるので、

動作工程6)が省略できますが、

その分動作過程2)、3)が

困難となります。

 

その問題を解決しながらも

ゴムの利点を生かした

靴もあります。

(靴上部の左右が

ゴムになっているもの)

 

この6段階の過程を経て、

ようやく靴を

履き終えるのです。

 

 

今日はこの辺で。

健康な身体は自分で勝ち取るもの。

 

 

88回目の明日は、

【第5章】

ADLと環境設定

1.靴の着脱動作

《その5》

対象者の疾病、

障がい特性による

指導のポイント

と題してお送りします。