下関の整体です【第4章】シーン別の靴の処方 4.透析患者のための靴 《その2》理学療法士における透析患者の足との関わり
ななかの山田です。
いつもななかのブログをご覧戴き、
本当に有難うございます。
おはようございます。
ここ何日かいいお天気が
続いたおかげで、
自宅そばの桜並木が
随分開花しました。
去年の今頃は
既に満開でしたが、
今年は例年通りの
開花のようです。
藤の花も順調に
咲きそうですし、
今年は色々と
楽しめそうです(^^♪
さて。
78回目の今日は、
【第4章】
シーン別の靴の処方
4.透析患者のための靴
《その2》
理学療法士における
透析患者の足との関わり
と題してお送りします。
☆理学療法士として
何が出来るか?
臨床で、
透析患者さんの足や
靴の問題に対して、
我々理学療法士は、
直接的にも、間接的にも
患者さんと関わる機会を
有しています。
直接的には、
運動療法や物理療法などで、
透析患者さんの
機能障害などを改善し、
日常生活の助言を
行っています。
間接的には、
水分や栄養状態などを
医師、看護師、管理栄養士
などチームの一員として
サポートしています。
☆直接的介入
透析患者さんの足に
対する運動療法の目的は、
一般的な目的に加えて、
①適切な足の
アライメントを保つこと、
②下腿や足に貯留した
浮腫の状態を改善
する事が重要です。
物理療法では、
透析患者さんの足に
対する炭酸泉欲が注目され、
虚血肢における
経皮的酸素分圧の改善や
循環障害による間欠性跛行
の改善などが期待されています。
個別に理学療法を行うことで、
透析患者さんの変化を把握し、
アドバイスできる
機会を作る事は、
透析患者さんにとっても
有益だと言えるでしょう。
しかしながら、
透析患者さんの多くは、
時間的な制約や
透析後の血圧低下などで
理学療法を受ける時間を
作りにくいので、
ADL指導を含めた
サポートも重要です。
1)運動療法
①足関節、足趾の可動域訓練
足根骨や足趾の可動性や
アライメントを整える事で、
扁平足や外反母趾を予防し、
荷重下での活動や
歩行中の同一部位の
ストレス軽減を
図る事が出来ます。
②足関節、足趾の筋力訓練
足趾や足部の筋収縮により、
抹消での静脈還流や
リンパ管流が改善され、
サードスペース(細胞間質)
に貯留する水分の
循環を正常化し、
浮腫などの改善が
期待できます。
③リンパドレナージ
下腿や足に
貯留している水分を、
リンパドレナージを
行うことで、
リンパ還流を促し、
静脈系に戻します。
血管に水分を還流させることは、
除水による血管内の水分の
変化を最小限にとどめ、
透析後の血圧低下を
予防できる可能性があります。
その効果を得るためには、
透析治療後に関わる事が
重要であり、禁漁増強訓練や
弾性包帯などの圧迫療法を
併用する複合的な理学療法が
推奨されています。
④透析治療中の運動療法
透析治療中の運動療法に
関する報告は数多くあり、
その効果はリハビリテーション
分野だけでなく、
透析看護や透析医学に
おいても注目されています。
特に透析治療後の
血圧低下や“こむら返り”を
予防する事が期待され、
透析患者さんのADLや
生活の質(QOL)改善に
繋がると考えられています。
透析治療後の全身状態が
安定すれば、理学療法を
受ける事も可能であり、
透析患者さんの足と
関わる時間も
確保できるでしょう。
2)物理療法
~人口炭酸泉足浴
湯水を37~38度に設定し、
人工炭酸泉製造装置を
用いて湯水に
CO2を溶解させ、
治療に必要な濃度に
設定します。
(1,000mg/L以上)
足浴を10~15分間
行うことで、
経皮的酸素分圧の改善や
歩行距離の延長、
潰瘍形成の予防などの
効果が期待出来ます。
3)ADL指導
①セルフケアの重要性
毎日一度は裸足になって
足に傷や圧迫による
発赤などがないか
確認します。
特に長時間の歩行や
立ち仕事、透析治療から
自宅に帰った後などは、
足趾、爪など全体的に
確認し、異常があれば
直ちに医療スタッフに
報告します。
②靴の購入についての
アドバイス
個々の患者さんの
特徴を理解した上で、
アドバイスする事が
重要なのですが、
透析患者さんは、
正しい目的で購入する
事が出来ていない事も
多いのです。
ポイントとして、
a.購入するタイミングは、
非透析日で足に浮腫が
生じている状態の
時が望ましい。
b.購入の際に、
必ず試し履きをすること。
c.歩いた時の靴の中の
遊びの程度や場所を
確認する事。
遊びが多い場合には
その対策を考える必要がある。
d.自分の足より大きい靴で
着脱の容易さを重視しない
ことなどをアドバイスします。
③靴下の持つ意味
一般的に、靴下を履く
目的としては、
保温、足の保護、
適度な圧迫による
浮腫予防などが
挙げられるでしょう。
透析患者さんは、
それに加えて、
透析治療前後で
足のサイズに変化が
生じた場合に、
靴下の重ね履きをして
サイズを調整する事が
重要になるので、
何足か厚さの違う靴下を
持参する事を勧めます。
☆間接的介入
間接的な介入には、
医師を中心とした
多職種と連携する事が
重要となります。
そのなかでも
理学療法士は、
水分や食事などが
透析患者さんの
足に変化を及ぼす事を
理解しておかなければ
なりません。
1)水分の管理
透析が導入されると、
徐々に尿量が減少し、
体内に水分が貯留します。
体重の増加が多いほど、
下腿や足の浮腫も
生じやすく、
透析治療前後での
足のサイズに変化が
出やすくなります。
適切な体重維持のため、
除水量を増やすと、
死亡リスクも上昇します。
体重増加の目安は、
中1日で3%、
中2日では5%に
とどめる事が
重要となります。
2)食事の管理
①塩分
透析患者さんの腎臓は
糸球体濾過量の低下により、
ナトリウムが体内に
蓄積されやすくなります。
ナトリウムが蓄積されると
体液の浸透圧が上昇し、
のどが渇きやすくなります。
そのため飲水量も増え、
体重が増加してしまいます。
食塩摂取量を
5~8g/日程度に制限し、
飲水量を抑える
必要があるのです。
②血清アルブミン
アルブミンは、
生体中に存在する物質や
薬物など外部から
取り込んだ物質の
キャリア蛋白としての
機能を有する他、
決勝膠質浸透圧の
調整も行っています。
そのため、
血清アルブミンが低下すると、
血液の浸透性が低下し、
血管外に水分が漏出、
浮腫を生じやすくなります。
透析食での蛋白摂取量は
1.0~1.2g/kg/日と
されており、
低栄養状態に
なりやすいのです。
低栄養状態では、
生命予後も不良となる為に、
3.5g/ml以上を
血清アルブミンの
目標値とした
栄養管理が必要となります。
《メモ》
カリウムとリンの
値にも注意が必要
果物や生野菜の
過剰摂取による
高カリウム血症は、
不整脈や心停止を
引き起こす可能性がある。
またリンの過剰摂取は
腎臓でのビタミンDの
合成を抑制し、
副甲状腺ホルモンの
値を上昇させる。
骨からのカルシウムの
流出を促進し、
異所性石灰化や
動脈硬化などを
引き起こす原因となる。
今日はこの辺で。
健康な身体は自分で勝ち取るもの。
79回目の明日は、
【第4章】
シーン別の靴の処方
4.透析患者のための靴
《その2》
透析患者の靴に
対する工夫について
と題してお送りします。